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金融業界で今後AI活用が必要になった理由とは?活用事例も解説

金融業界で今後AI活用が必要になった理由とは?活用事例も解説

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AIの急速な発展と進化は、ビジネスシーンにも大きな影響を与えています。特に、情報技術を取り入れて革新している金融業界において、AIを活用したサービスの導入は極めて重要になるでしょう。今後顧客にとっても自社にとっても有益なサービスを始められるかどうかは、AI活用の有無で大きく変わってくると言えます。


この記事では金融業界でAI活用が必要になった理由や、AI活用のメリットおよび成功事例、AI活用をする際の課題について解説します。



目次


1. 金融業界でAI活用が必要になった理由

1-1. 銀行に対する顧客ニーズの変化

1-2. 正確性の高いデータの保有

1-3. 間接金融から直接金融へのシフト


2. 金融業界のAI活用成功事例

2-1. AIを利用したキャッシュフローシミュレーター

2-2. AIを利用した市場予測とポートフォリオ提案

2-3. AIを利用した業務効率化

2-4. AIを利用した金融犯罪の防止


3. 金融業界がAI活用をする上での今後の課題


まとめ




1. 金融業界でAI活用が必要になった理由


現在、さまざまな分野で人工知能(AI)技術が急速に進化しています。金融業界においても、今後は幅広いシーンでAI活用が求められます。金融業界では窓口業務の補助や、不正アクセス・不正送金の検知、市場予測などにAIを活用した事例がすでにあり、コスト削減や業務効率化に生かせると分かっています。


ただし、AI活用が必要とされている理由は、業務の効率化のみではありません。たとえば主な理由として、顧客ニーズの変化・正確性の高いデータ・直接金融が主流となりつつある現状があげられます。




1-1. 銀行に対する顧客ニーズの変化


窓口の営業時間に縛られないサービスの利用者が増加している

1つ目の理由が、銀行のサービスに対する顧客ニーズの変化です。近年は特に若者を中心に、銀行窓口の利用率減少が進みつつあります。反対に、ATMやネットバンキングなど、窓口の営業時間に縛られないサービスの利用者が増加している状況です。


2021年12月に発表された全国銀行協会の調査によると、特にスマートフォン向けバンキングの利用率が急速に伸びています。2015年時点では11.0%の利用率が、2021年には35.5%にまで増加しました。


一方、窓口利用は2015年時点で89.3%と約9割に届く利用率から、2021年には75.6%まで低下しています。


出典:一般社団法人 全国銀行協会「よりよい銀行づくりのためのアンケート(報告書)」


顧客ニーズに応えるには、接客などアナログな対応が求められる窓口のみならず、ATMやネットバンキングに関連するデジタル化された業務の効率化が必要です。金融業界のデジタル化に合わせて業務効率化をはかるために、AI活用が重要視されています。



1-2. 正確性の高いデータの保有


2つ目の理由は、正確性の高いデータの保有が求められることです。金融業界は業務上、取引先とのやり取りや関連情報など、企業・個人に関する膨大なデータを保有しています。


膨大なデータを正確に記録して、必要に応じて参照しやすくするためには、分類などの処理も必要です。ビッグデータの処理を人間が手作業で行うよりも、AIを活用したほうが処理速度も正確性も向上します。たとえば膨大なデータの共通点を瞬時に見つけて分類したり、傾向をもとに今後の予測を立てたりする場合、AIの活用が効果的です。


金融業界が保有するデータの中には、顧客のライフイベントの変化にともなう取引記録のように、更新頻度が高いものも含まれます。正確にデータを更新・保有し続けるために、精度の高いAIが活用できます。



1-3. 間接金融から直接金融へのシフト


3つ目の理由は、近年の金融業界における主流サービスの変化です。従来は、預貯金を活用する間接金融が主流でした。間接金融は預貯金を銀行が運用するため、預金者にとって貸倒れリスクがないメリットがある一方で、利回りが低いデメリットもあります。


近年は、顧客の関心が、利回りの高い株式や債券を中心とした直接金融へとシフトしています。直接金融は顧客自身が投資対象を選べる自由がある反面、元本割れのリスクを直接負わなくてはなりません。


顧客の資産運用を行う金融業界は、元本割れのリスクを軽減させるために精度の高い市場予測が必要です。膨大なデータを収集・保有できる、AIを利用した予測の重要性が増しています。




2. 金融業界のAI活用成功事例


金融業界のAI活用成功事例4点

各金融機関がAIを活用すると、さまざまなメリットを得られます。期待できる主なメリットは、下記の通りです。


【金融業界がAI活用で得られるメリット】


AIはチャットボットなど、顧客と直接やり取りをするサービスにも活用されています。顧客はわざわざ窓口へ行かずとも、アプリやサイト上にてチャット感覚で質問して疑問を解消したり、金融アドバイスを得たりできる仕組みです。


膨大なデータを活用した高精度な市場予測もでき、顧客サービスの向上のみならず金融取引のリスク分析にも役立てられます。


従業員が直接対応するシーンが減ることで、より専門性の高い銀行業務へ人員を配置したり、AIの活用によって処理速度を向上したりと、業務効率化も期待できます。


また、セキュリティの強化に関しても、AIの活用が効果的です。過去の取引を参照して不正検知や、マネーロンダリングの防止もできます。顧客の本人確認もAIで対応でき、あらゆる取引で金融機関が法的義務を冒さずに済むようにサポートしてくれます。


以下では、具体的に4つの成功事例をあげて解説します。



2-1. AIを利用したキャッシュフローシミュレーター


顧客サービスをAIによって向上させた事例として、2018年より提供されているオリックス銀行のキャッシュフローシミュレーターがあげられます。予測AIを活用したキャッシュフローシミュレーターは、不動産投資家向けのサービスです。


投資対象となるアパートなどの賃貸物件に関して、ビッグデータ分析をもとに賃料や空室率の推移を予測します。不動産投資は、賃料収益をローンの返済金にあてる方法が一般的です。キャッシュフローシミュレーターが予測できる期間は最長50年までで、算出データをもとに運営収支でローンの返済費用をまかなえるかが判断できます。



2-2. AIを利用した市場予測とポートフォリオ提案


高精度な市場予測ができる事例として、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社のAI投資アドバイザー(ロボアドバイザー)があげられます。


AI投資アドバイザーとは、AIが収集したデータや分析結果をもとに市場予測や、投資に関するポートフォリオ提案を行ってくれるサービスです。


AI投資アドバイザーは業界レポートなどから業界トレンドを機械学習しており、投資ポートフォリオとのAPI連携によって自然な文脈による対話を実現しています。機能連携により、社内文書など取引先の金融機関のみが有するデータや顧客の背景事情も含めたアドバイスが提供できます。


生成AIを活用した投資のアドバイザリーソリューションを開発




2-3. AIを利用した業務効率化


AI導入による業務効率化の事例として、イオン銀行の顧客管理があげられます。イオン銀行は、顧客対応記録の分析や管理に割く人的リソースを軽減するために、AI搭載のデータ分析ツールを導入しています。


従来はモニタリング担当者が複数のシステムを並行的に参照しなくてはならず、1件あたりに平均6分程度の処理時間がかかっていました。AI搭載のデータ分析ツールを導入した現在は、一部プロセスの自動化によって人間が確認する部分を60%削減でき、大幅な業務効率化につながりました。



2-4. AIを利用した金融犯罪の防止


セキュリティの強化に成功した事例として、千葉銀行のAIを利用した不正取引の防止システムがあげられます。


近年、高齢者を主な対象とした特殊詐欺が多く発生しています。高齢者から騙し取ったキャッシュカードで現金を引き出す事例も多く、犯罪被害を防ぐためには、AIを活用した不正出金の検知などリアルタイムでの対策が必要です。


また、取引の特徴を分析したデータ活用による不正口座の検知など、犯罪利用の防止にもAIが役立てられています。




3. 金融業界がAI活用をする上での今後の課題


レガシーシステムの残存・デジタルリテラシーの不足

各種金融サービスとAIの親和性は高く、前述の通り業務効率化のみならず不正取引など犯罪被害の防止にも役立てられています。一方で、金融業界がAIを活用する上で注意すべき課題として、下記の2つがあげられます。



古い技術によって構築・運用されているレガシーシステムは、業務環境やフローの変化に対応できないことがあります。コストをかけて新しいシステムを導入しようとしても、既存のレガシーシステムと連携できず、思うように業務効率化が進みません。


そもそもAIに限らず、新しいシステムを導入して全従業員が円滑に利用するためには、デジタルリテラシーが求められます。しかしIT人材の不足や教育環境の整備不足など、従業員のデジタルリテラシーが不足している場合もあります。


レガシーシステムやデジタルリテラシーに関する課題は、解決に専門的な知識が必要です。効率的に解決するためには、外部の手を借りてコンサルティングを受けることも1つの手段と言えます。




まとめ


金融業界、特に銀行ではスマートフォンから利用できるネットバンキングのニーズが急速に増しています。また、金融機関の持つ大量の顧客データの活用や、間接金融から直接金融への移り変わりによる高精度の市場予測の必要性もあり、今後の金融業界ではAI活用が必須です。


まだDXを十分推進できてない状態で、AI活用に踏み切れていないのであれば、外部からコンサルティングを受け、変化を推し進める必要があるでしょう。伊藤忠テクノソリューションズが提供するDXコンサルティングは、特に金融機関のDXを「モダナイゼーション」と「新規ビジネス創出」の2つの点から支援します。


自社でもDXを進め、AIを活用した新たなサービスを提供したい方は、ぜひご相談ください。


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